時事論評 偽りの解決方法

時事論評               偽りの解決方法 

エスタード紙のワシントン特派員パトリシア・カンポス・メーロへのインタビューで、国際的な人気ブログを持つ経済学者のヌリエル・ルービニは、現在のレアル高傾向を反転させることが目的だとすれば、金利の大幅是正だけでは不十分であると述べた。同氏曰く、投機資本の流入に何らかの管理手段を設けなければならないとのことである。

 投機資本の抑制案は繰り返し提唱されているが、ルーラ政権は、イデオロギー的ではなく、むしろ実務的な理由から常にその実施を拒否してきた。前提としては、内国為替におけるドル安の主要な原因の一つとして、利鞘を目的した資本の流入があげられるというものであるが、統計上、そのような大々的な流れがあるとは伺えない。それはさておき、ルービニの考えには批判すべきものがある。もし金利の大幅是正は無駄であると言う認識であれば、ルービニ自身が内外の金利差が投機的なレアル高の主要因であるということを認めていないことになるからである。

 ブラジルでは金利の利鞘取引が非常に旺盛であることについて否定する者は誰もいないが、当該取引は、新規の資本流入よりも、通常なら送金されていたはずの留保利益によって行われているようである。

 いずれにせよ、投機目的の資本の流入時における規制を薦められない理由は、上記以外に少なくとも4つはある。

 最初に、短期資本が激しい勢いで流入しているとすれば、定義上、「短期」に流出するために、レアル高に貢献した分、レアル安にも貢献する筈である。従って、流入規制の導入は、その資本の長期化を奨励すること以外に他ならない。ドル相場はここ4年間、下がってきている。4年前の投機資本の流入が現状に関して重要だったとすれば、4年前から流出していなければならず、為替レートの逆転の一助になっていたはずだが、実際にはそうならなかった。資本流入は憶測されているほど投機目的ではないし、あるいは投機資本は全体的にあまり顕著ではないと云う事なのだ。

 第2の理由は、(抑制することが望まれている)利鞘を狙って流入する短期資本と、(抑制が望まれない)貿易融資を目的とした同じく短期の資本流入を見分けることは困難である、とうい事だ。さらに貿易取引の融資は単なる装いであることもあり得る。例えば、ある機械を輸入する業者は外国の融資を受ける事もあるが、決済資金が不足している理由からではなく、国内市場において自己資本に充てるためである。

 第3の理由は、投機資本と長期投資を確実に見分ける唯一の方法は、国内に留まる期間を確認する、ということしかないことである。このように流入時にコントロールする意味はなく、流出時にコントロールを設けるべきである。ただし、そういう場合にも流入時に起こるレアル高は避けられない。

 そして4つめの理由は、過去にそのメカニズムを採用した国の前例があり、成果をあげていないことだ。例えば、チリは未だにペソの過剰な為替高の問題をかかえているが、1998年に投機資本の流入抑制を導入した後に、有効ではないという理由のために断念している。今年初めのタイの場合は悲惨な結果に終わっているし、3週間前に短期資本の「検疫」を導入したコロンビアも、未だにペソ高に歯止めをかけることが出来ないままである。

             <2007年5月29日付けエスタード紙に掲載されたコラムの翻訳文>

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