9月の日伯法律委員会に52人が参加して開催

日伯法律委員会(村上 廣高委員長)は9月11日午後4時から6時まで52人が参加して開催、初めにCarvalho e Natale Advogadosのルイ・ジュンケイラ・ネット取締役は「ブラジルにおけるジョイントベンチャー」について、ジョイントベンチャーの形態と特徴について、企業では請け負うことのできない大規模な工事・事業を複数の企業が協力して請け負うことであり、主として複数の企業が出資しあって新たに会社を設立、また既存企業の株式の一部を買収してその企業を既存の株主や経営陣と共同経営する形態があり、JVの設立に向けては複雑なガバナンス体制下でいかに円滑に意思決定するか、提携関係の時限性がある中で企業文化の融合をどうするかなど通常のM&Aとは異なるJV特有の問題があることなどを説明した。

Gaia, Silva, Gaede & Associados.のジョージ・ファク―レ税務担当部長は、「輸入品転売における工業製品税(IPI)の免除について -そのプロセスと国家課税条項166号の影響」について、工業化或いは再販を目的とした納税者間取引で、工業製品税(IPI)と流通税が課税される取引の場合にはIPI額は流通税の課税対象外、裁判所の判例などについて説明、PwC Brasil のアンドレ・アポストロポウロス貿易担当シニアマネージャーは、「間接輸入の規定」について、業者が輸入して仕入れる間接輸入のメリットは、全ての輸入業務を代行してくれるために輸送リスクが少ないが、直接輸入よりも利幅が減るデメリットがあり、海外の商品を直接仕入れる直接輸入のメリットは間接輸入よりも利幅が大きく、取引する売り手の動向や事情が直接把握出来ることなどについて説明した。

Trench, Rossi e Watanabe Advogadosのエリザベッテ・リベルツシ弁護士は、「駐在員の待遇 -税法面における議論点」について、駐在員としてブラジル国内の企業で働く場合は就労ビザまたは永住ビザの取得が必要であり、就労ビザは日本企業のブラジル法人を含むブラジル国内企業が駐在員を呼び寄せて雇用する際に発給され、永住ビザを取得し現地会社に役員として勤める場合には、現地会社で受け取る報酬が著しく少ない場合や現地会社から報酬を全く受け取らない場合には税法面から指摘を受けるリスクがある。

会社が支給した家賃手当、扶養者の教育費などはフレンジベネフィットと見なされて給与とともに課税対象となり、ブラジルの銀行から受け取った利子、キャピタルゲイン、13カ月給与は一定の税率で課税される事などを説明した。

PdfCarvalho e Natale Advogadosのルイ・ジュンケイラ・ネット取締役 「ブラジルにおけるジョイントベンチャー」

PdfGaia, Silva, Gaede & Associados.のジョージ・ファク―レ税務担当部長 「輸入品転売における工業製品税(IPI)の免除について -そのプロセスと国家課税条項166号の影響」

PdfPwC Brasil のアンドレ・アポストロポウロス貿易担当シニアマネージャー 「間接輸入の規定」

PdfTrench, Rossi e Watanabe Advogadosのエリザベッテ・リベルツシ弁護士は、「駐在員の待遇 -税法面における議論点

 

 

第17回日本ブラジル経済合同委員会が開催

9月9日、10日の2日に亘って経団連とブラジル工業連合会(CNI)は第17回日本ブラジル経済合同委員会を経団連本館の国際会議室で開催した。

経団連の飯島日伯経済委員長は先般の8月、安部総理の来伯時に述べた「今や活力を復活させた日本企業が中南米の地域で真剣な眼差しを注いでいる。他のどこの地域よりも進出件数を記録している日本企業をパートナーとして欲しい。」を引用、ブラジリアにおけるホブソンCNI会長をはじめとするマスカレーニャ ブラジル日本経済委員長等、ブラジル経済界の首脳との懇談会において過去40年間に亘って両国経済の発展に果たして来た役割を高く評価、ブラジリアでの共同声明の発表を今回の合同委員会で議論を深めたい。まず日伯EPA(日伯経済連携協定)の共同提言に向けた議論を開始、賛同を得た上で相互間でMOU(覚書)に調印、双方にWGを設置して具体的な検討に着手したいと強く表明、開会宣言を行なった。

今次の合同委員会では、総勢230名が参加、両国の経済展望に基づき、経済連携協定の締結可能性を含む貿易投資活性化の方策、天然資源開発、物流・エネルギー関連インフラ整備、ビジネス環境整備、イノベーション等における日伯協力のあり方が話し合われた。

会議所から藤井会頭はじめ村田副会頭(機能強化委員長)の他、上野副会頭、松永専任理事、奥村専任理事、岡専任理事、平田事務局長等が参加した。

以下のアジェンダで議事進行。
9月9日(火)
  開会セッション
(1)飯島彰己 日本ブラジル経済委員長開会挨拶
(2)ホブソン・ブラガ・ド・アンドラーデ ブラジル全国工業連盟(CNI)会長挨拶
(3)ジョゼ・マスカレーニャス ブラジル日本経済委員長挨拶
(4)日本側来賓挨拶
(5)アンドレ・コヘア・ド・ラーゴ駐日ブラジル特命全権大使挨拶
日伯EPA(日伯経済連携協定)共同研究MOU(覚書)に調印
特別セッション:日伯経済関係の現状と展望
モデレーター役 マスカレーニャ・ブラジル日本経済委員長
(1)村田俊典 三菱東京UFJ銀行執行役員中南米総支配人兼ブラジル三菱東京UFJ銀行頭取
(2)セルジオ・フォルデス BNDES国際担当理事代行
(3)ジョゼ・アウグスト・フェルナンデスCNI政策戦略部長
昼食
挨拶 榊原定征 経団連会長
セッション1:貿易投資の活性化・バリューチェーン
モデレーター 椋田哲史経団連専務理事
(1)松永愛一郎 伯国三菱商事社長
(2)カルロス・エドワルド・アビジャオディCNI産業開発部長
(3)トマス・ザノットFIESP国際関係通商部長
セッション2:天然資源・エネルギー
モデレーター カルロス・マリアニ・ビッテンクール賢人会議ブラジル側座長
(1)ムリーリョ・フェレイラ ヴァーレ社長
(2)ヴァルテル・ルイズ・カルデアル・デ・ソウザ連邦電力公社発電事業部長
(3)榮 敏治 新日鐵住金 常務執行役員
(4)安部昭則IHI取締役常務執行役員
セッション3:ビジネス環境整備と投資誘致
モデレーター 鷲巣 寛伊藤忠商事顧問
(1)矢島 浩一国際協力銀行副総裁
(2)岡 省一郎住友商事執行役員南米支配人兼ブラジル住友商事社長
(3)アロ・リカルド・シュロルケ・ブルマン アトランティコスル造船所社長
(4)エルベルト・ゴミーデ連邦貯蓄銀行日本駐在代表
(5)ジョアン・ジルベルト・ヴァズAbrarenas社長
9月10日(水)
セッション4:インフラ整備・農業
モデレーター 大前孝雄 日本ブラジル経済委員会企画部長
(1)安永 竜夫三井物産執行役員機械輸送システム本部長
(2)前田 馨 双日生活産業部門食料 アグリビジネス本部長
(3)ジョサイアス・カヴァルカンテ  EPLプレジデント・ディレクター
(4)アレッサンドロ・ バーラ   アンドラーデ・グティエレス・ディレクター
セッション5:イノベーション・技術
モデレーター 椋田 哲史経団連専務理事
(1)イヴァン・デ・ペレグリン リオグランデ・ド・スル州投資局長官
(2)エロイザ メネゼス開発商工省生産開発局長
(3) 田中嘉郎 前川製作所会長
(4) 久木田信哉 NEC海外ビジネスユニット主席技師長
閉会
(1)三村明夫 日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議日本側座長挨拶
(2)ジョゼ・マスカレーニャス ブラジル日本経済委員長挨拶
(3)飯島 彰己日本ブラジル経済委員長挨拶

(飯島委員長の総括)
1日半に亘って両国関係の新たな発展の可能性について幅広く意見交換をすることが出来、初期の目的が達成できた。貿易投資の活性化についてはブラジル側の技術協力の推進やヴァリューチェーンの強化を図るために関税の引き下げのみならず、サービスの自由化や知的財産権と特許などを含む包括的な日伯EPAの可能性を追求すべきであるとの建設的な意見があった。
これを追い風にサービス分野における外資制限ローカルコンテンツの緩和、税制の合理化など貿易と投資の相互に関わるビジネス環境の整備に向けて取り組んで行く。
天然資源、エネルギーについてはブラジル側から資源開発や輸送インフラへの日本の技術と資金による協力に強い期待が示された。一方、日本側からは長期安定的な鉄鉱石の供給への期待が示されると共に沖合の深海油田の開発に関する施設制御を通じた貢献が提案された。
ビジネス環境と投資誘致の議論では日本の中小企業のブラジル進出を日伯双方の金融機関を利用して支援する事でブラジルの産業競争力が強化され結果として日伯双方の利益に繋がるという点で一致した。
インフラの議論では物流インフラの整備によって農業分野を含めビジネスチャンスが大幅に拡大する余地がある事を日伯双方で確認した。
イノベーションの分野でも様々なビジネスチャンスがある事が確認できた。
ビジネス環境の整備と合わせ人材育成を両国間で一層進めていくことが重要であるという点も関係者の共通認識とし確認できた。
次回の合同委員会までの間、皆様の一層のご協力をお願いしたい。特に今般覚え書きを調印した日伯EPAの研究については早急に着手したい。次回の第18回合同委員会はブラジルのRS州の工業連盟の全面的な協力により同州で開催する事で合意したと合同委員会を終了。

Foto: Hirofumi Kudoh

マルコ・ファラ二在京ブラジル総領事と意見交換

日本に出張中の平田事務局長は9月8日、マルコ・ファラ二在京ブラジル総領事を訪問、まず最初に商用マルチビザが総領事自らの約束の24時間以内の発給により、会議所訪問客の間から非常に感謝されている喜ばしい現状を伝え、深々と感謝を述べた。

また先週末の9月5日、浜松で行われた中小企業向けのブラジル経済セミナーに関し報告、高度な技術を持つ日本の中小企業が安心してブラジルに進出出来るための施策についても突っ込んだ協議を行った。

技術移転に関する各種規制の撤廃、経済特区の基本インフラ整備、迅速な許認可(ワンストップサービス等)や技術ビザ、学生ビザの簡易化等々についても話し合った。

最後に昨今のブラジルの政治経済情勢および今後の選挙戦の見通しについて意見交換を行なった。

マルコ・ファラニ総領事(左)と平田事務局長

平田事務局長は在京ブラジル総領事館を表敬訪問の後、会員企業の本社の方々と昨今のブラジルの政治経済情勢やブラジルから日本向けに輸出するにあたって、日本における商習慣や参入障壁について幅広く懇談した。

また午後2時30分に経産省の渡部中南米室長を訪ね貿投委のアゼンダ変更について説明を受けた。

夕方には在日ブラジル大使が主催する経団連とCNIの懇親会が公邸に於いて開催され、会員企業など大勢の関係者で埋め尽くされた。

9日から2日間に亘って経団連およびCNIが主催する第17回日伯経済合同委員会が経団連会館の国際会議場(大手町)で開催される。

ブラジル経済セミナーで熱弁

9月5日、磐田信用金庫が浜松のOkuraで第5回ブラジル経済セミナーを開催した。8日から11日迄の期間に開催される日伯ハイレベル協議(METIとMDICおよび経団連、CNIが各々主催する第2回日伯貿易投資産業協力合同委員会、第17回日伯経済合同委員会)のため来日中の平田事務局長は同セミナーで「ブラジルにおける日系企業の状況と今後の市場性~それでも土俵は同じ~」と題し第一セッションで講演。

最近、日増しに日伯関係が深化している。昨年5月には、茂木経産大臣がブラジルを訪問、成長戦略の1つである中小企業の海外展開促進プラットホーム事業立ち上げのテープカットの第一号がブラジル。他の閣僚や県知事および市長などの来伯も相次いでいる。

また去る7月31日安部総理が来伯、ブラジリアでの首脳会談終了後に8月2日来聖、日本ブラジルビジネスフォーラム「~信頼の100年から繁栄と創造の100年へ~」の中で3つのジュントス(発展を伴にして行こうではないか、伴に世界をリードして行こうではないか、一緒になって啓発し合うではないか、ポル語ではProgredir Juntos, Liderar Juntos, Inspirar Juntos) を高らかに謳ったばかりである。 (http://jp.camaradojapao.org.br/news/atividades-da-camara/?materia=13456 )

それを先取り継続的に開かれて来たのが、この第5回目の「いわしんブラジル経済セミナー」だ。同信金の高木会長は「継続は力なり」と挨拶、Jose Antonio G. Piras浜松総領事は巨大なポテンシャルを秘めるブラジルを紹介、第二セッションではJETROのアジア経済研究所地域研究センターラテンアメリカ研究Gの二宮康史氏が総括を含め「ブラジルの中小企業と日本企業の連携の可能性」と題して講演。

最後に高柳理事長が提携先の連邦貯蓄金庫CAIXA ECONOMICA  FEDERALと現地通貨レアル建ての融資新設を披露、引続き地域経済の牽引役、中小企業を支援して行くと力強い挨拶で閉会した。

Pdf平田事務局長プレゼン資料

講演する平田事務局長

これで第5回目となる「いわしんブラジル経済セミナー」

主催者や来賓と記念撮影

天野一郎日系社会委員長が平成26年度外務大臣表彰伝達・祝賀式に参加

天野一郎日系社会委員長は、2014年9月4日午後3時から総領事公邸で開催された平成26年度外務大臣表彰伝達・祝賀式に参加した。

平成26年度外務大臣表彰受章者はサンパウロ日伯援護協会の菊池義治会長、ブラジル日本文化福祉協会の木多喜八郎会長、アルモニア教育文化協会の和田忠義会長。

前列左から平成26年度外務大臣表彰受章者のサンパウロ日伯援護協会の菊池義治会長、ブラジル日本文化福祉協会の木多喜八郎会長、福嶌教輝 在サンパウロ日本国総領事/アルモニア教育文化協会の和田忠義会長

写真提供 望月二郎氏

HIDA/CNIの共催による「ブラジル産業における労使関係改善」セミナー開催

HIDA/CNIの共催による「ブラジル産業における労使関係改善」と題されたセミナーが、2014年9月4日、5日の2日間にわたって、CNIのサンパウロ事務所にて、述べ約40人が参加して開催された。参加者には、CNIの研究者や人事・労務管理の弁護士、ブラジル大手の建設業、製造業、自動車メーカーなどの人事・労務担当者などが集まり、講義に熱心に耳を傾け、討論会ではそれぞれの意見を述べる白熱したセミナーとなった。

初めに、HIDA産業推進部の田中秀穂部長より、HIDAは日本でのブラジル人の受け入れは行っているが、厚生労働省の事業ではブラジルにおいてセミナーを開催するのは初めてで、厚生労働省やCNIの協力により、このセミナーが実現することに感謝し、参加者一人ひとりが、日本の労務管理・労使関係における問題改善や生産性向上(改善・5S)の取り組みに関する講義を聞いて頂き、その後、講義で学んだことを踏まえて、ブラジルや自社の労使・人事に関するグループ討論を行い、各自アクションプランを考え提出して頂くセミナーになるので、セミナーを通じて両国将来の産業発展に役立てれば幸いであるとして、当セミナーの講師である連帯社会研究交流センターの鈴木不二一講師を紹介した。

鈴木講師は、初めに、日本の人的資源管理・労使関係の特徴を、長期雇用制度、年功序列型賃金および内部昇進制度、そして企業別組合の存在という「3つの柱」で説明した。また、日本の労使関係の国際比較に関する代表的な研究として、1960-70年代の高度成長期に社会学者のRonald Dore教授が行った実証研究を取り上げ、西欧企業(W Type)と日本企業(J Type)に関する、「マーケット志向型」対「組織志向型」という類型的対比を紹介した。Jタイプ企業の主な特徴として、離職率の低さ、集団主義、長期志向型、生産志向型(もの作り・サービス作りが目的)などがあり、また、W企業は、内部労働市場への入職口が低位の職務から上級管理職まで、広く開かれているのに対し、J企業の特徴としては、内部労働市場への入職口は新規学卒入社者が従事する低位の職務に限定される傾向があると指摘した。そして、新規学卒入社者は社内での勤続を重ねる中でさまざまな職務経験を積み、職業能力を高め、より難しく困難な職務、責任と権限のより大きな職位に昇進していくという、日本における内部昇進制のもとでのキャリア形成の特徴を説明した。

OECDによる雇用保護の世界ランキングをみると、日本は中間に位置し、アメリカ、イギリスよりは保護されているが、ポルトガル、イタリアに比べると低位にある。日本の労働組合組織は、組合員の90%以上が企業別組合であるところに特徴がある。現在では、日本の労働組合組織率は長期低落傾向にある。企業と労働組合の間の集団的労使紛争は過去30年の間に顕著な減少傾向をたどり、いまではストライキフリー国などと呼ばれることもある。ただし、集団的労使紛争にかわって、企業と個人の間の個別労使紛争は近年急速に増加しており、労使紛争が消滅したわけではない。このため、厚生労働省の労働相談窓口等における解雇や賃金をめぐる個別相談が急増している。ここ20年の日本の経済成長低下により、倒産やリストラなど企業が不安定になり、早期定年退職、非正規雇用の増加、また入職口の減少などの問題にも直面している。しかし、一般的に、企業も個人も長期雇用慣行を高く支持していることは変わらない。現在の日本は、長期雇用慣行の長所を活かし、新しい経済社会環境に適応した労使関係のニューモデルを模索している状況にあるということができるとも説明された。

次に、鈴木講師は、日本の労使関係と生産性についての説明を行った。日本の生産性向上の取り組みは、戦後になって欧米から学んだものである。その基本的精神は1943年のフィラデルフィア宣言に表明されている人間中心主義にある。そのことは、1955年に政府・使用者・労働組合の三者の協力による「日本生産性本部(JPC)」が設立された際に確認された生産性3原則(「雇用確保」「労使協議」「公正配分」)にもっともよく表現されている。1959年には、労働組合も生産性向上に取り組むための組織を設立し、独自の活動を展開することとなった。戦後日本の生産性向上は、労働組合を通じて労働者自身も参加する形で展開され、その過程で労使間の相互信頼関係が醸成されていった。労働者の参加と労使間の信頼関係は、戦後日本の生産性改善に貢献した重要な要因のひとつである。

日本の労働組合の現状については、2013年時点の労働組合組織率は17.7%と非常に低いレベルにある。企業規模や産業ごとのばらつきも大きく、1000人以上の大企業では44.9%が組員に組織されているが、100人以下の小企業では1%にしかすぎない。また、官公部門や金融産業での組織率は高いが、卸・小売やサービス業では低いなど、産業によっても組織率は大きく異なっている。日本の労働組合員数は全体では1000万人近くに及んでいるが、企業別組合を主体としているために組合数は25000強ときわめて多く、1組合の平均組合員数は387人にしかすぎない。きわめて零細な規模の労働組合が広く分散されている状況にある。近年急増中の非正規従業員の多くは未組織であり、労働組合の組織化活動の重要な課題となっている。他方、企業別組合は、正規従業員であれば、ブルーカラーもホワイトカラーの区別なく組合員に組織している。ホワイトカラーや高度技術者も、管理職に昇進するまでは、一般従業員と一緒になって組合活動に参加していることは、複雑な経営課題や技術問題についての企業との協議・交渉を進める上で、しばしば大きな力を発揮することもあると説明された。

参加者からは、生産性向上の取り組みの中での教育システムの役割や労働組合の組織作りの政治との繋がりなどについて質問が寄せられた。鈴木講師は、高度成長期には産業発展に対応して技術系人材の供給を増やすために理工系の大学の定員を増やすなど、国の政策としても技術者育成に力を入れていたことを紹介した。また、日本では労働組合への参加は強制ではなく、労働者個人の自由意志によること、また労働組合と政治との関係については、日本の労働組合は労働者の利害を守るための政治活動を行なうことはあるけれども、政党との間に明確な一線を引いていると説明した。

企業と従業員の間では、当然ながら利害関係が異なる。労使紛争の火種は、いたるところに存在しているといってよい。しかしながら、労使コミュニケーションを通して、労使が相互信頼関係を構築することは可能であり、そうした基盤の上に立ってお互いに話し合い、納得できる解決策を考えていくことが、労使の共存共栄につながる。日本では、企業と組合がお互いに向かい合って座る(よそよそしい対立関係)のでもなく、同じテーブルに座る(労使の利害一致・融合)のでもなく、お互いの傍らに席をとって、立場の違いを認めながら生産的対話を進めようと努力しているところに特徴があると述べた。参加者同士の討論の中では、ブラジルでの労働組合は、企業と対立関係が強く、労使間の対話の機会も殆どないこと、労働組合への登録は義務であるけれども、一般従業員の発言・参加は希で、また組合リーダーの個人主義や強い政治との関係なども多く見られる、などの問題点が指摘された。日本の労働組合・企業・従業員の間の信頼関係、労働組合と企業への帰属意識には、賛同する意見が多かった。鈴木講師は、日本でも妥協点を見つけたり労使問題を解決したりするのはそんな簡単なものでもないと説明し、この様な国際的な意見交換の場で討論をしていくことが大変重要であると語った。

次に、CNIのAretha Amorim Cury Correaさんが、2012年に日本に行き、HIDAの2週間の研修の経験とそれに基づく現在の活動について語った。発表では、まず、CNIは産業連合で、27の連盟と1300の組合から成り立ち、60万の産業を代表しており、1696箇所で年間220万もの登録会員を持つSESI(産業の社会サービス-基礎教育と健康サービス)、797箇所で230万もの登録会員を持つSENAI(産業訓練サービス)、そして、103箇所で34000企業が参加しているIEL(企業訓練)からなり、ブラジルの産業を代表している機関であると説明した。その中で、産業界の労働関係の討論のみならず、労働に関する政治や法律に関する討論や分析、また提案書を作成し国会に提出する活動も行う役割であると述べた。ブラジル産業にとって様々な障害があり、法律の煩雑さ、税制問題、専門家の質、技術革新、労働法、労働コスト、官僚制度、そして労働関連などが競争力強化へのチャレンジとなり、この問題を克服する助けをする為に、日々努力しているなどと説明した。日本での研修にて学んだことをCNIでの日々の仕事の中で実践する為、周知-参加-導引-意識改革の順に仕事の分析を行い、また、5SをCNI組織内での活動では、時間の限られた中でも、少しずつ意識改革を行い、職場環境や仕事への意識改革が出来ている実態経験も語った。最後に、日本では、現場を訪れたことに感銘を受け、今は、新しい従業員を産業の現場に連れて行き、現場体験をさせる重要性を訴えていると説明した。

Arethaさんの経験談の後で、鈴木講師は、日本の従業員の参加と現場での活動について、改善と5Sの概念を説明した。日本企業の特徴として、情報の共有の仕方として、上からのコミュニケーションのみでなく、下からそして草の根の意見を吸い上げる対話の仕組みもあることを説明、企業の90%がコミュニケーションは大切だとし、現在の社内のコミュニケーションの評価として、従業員からも半分以上が良い評価をしていると述べた。小規模集団と改善の役目は、小さな問題を継続的に改善していくことが重要である。超一流の技術者の生産計画でも必ず予想できない問題は起こりうるのであり、小さな問題と小さな改善でも毎日全員が考え実践することの積み重ねが、大きな改善につながっていく。それは、従業員自らの意識改革にもつながり、現場での生産性の向上につながっているとした。ムダをなくす、整理整頓、標準化(反復性があり誰でもできる)の3つの改善概念の中でも、整理整頓や5Sがどの様に生産性に繋がるかという議論もあるが、効率的な職場は、きちんと整理整頓をしている事実はあると語った。小規模で参加型のこの活動は、従業員の帰属意識向上効果にもつながっていることも述べた。

最後にケーススタディとしては、帝国ホテルの組合の事例を検討した。東日本大震災で観光客も減少する中、帝国ホテルの労使は、非正規従業員を正規従業員に移行させるという組合要求について合意に達した。それは、帝国ホテルのサービスの質を支えているのは、個々の従業員の能力とモラルの高さであり、それこそが生産性の基礎であるという認識を労使が共有した故の合意であった。結果として、この決断と合意形成は、その後の帝国ホテルの売上や利益の増加につながっていった。このケースをもとに、今まで学んできたことを含めグループ討論を行った。日本とブラジルでは、労働組合のあり方が全く違っており、日本と同じことはできない。けれども、小さなことでもできることはあると、それぞれが討論した。

企業側としては、労働組合との関係づくりも大切にしながら、従業員との直接のコミュニケーションや意見交換も大切とし、下から拾い上げる草の根の意見具申活動や、従業員間での委員会の設立や、従業員との直接対話の機会を設けるなどして、新しい形での労使関係を作ることも考えられるなどの意見も出た。政治とのパイプの強い労働組合リーダーは、法律に守られ収入も確保され、企業との交渉も強引でストライキなども頻繁に起こすなど、の問題点も指摘された。

組合組織寄りの現在の法律の改革自体も必要であるとの意見も飛び交った。労働法も多く煩雑で、改革も簡単ではないこともあり、今できる小さなことから初めていく、それが人事・労務の基本的精神の改善で生産性向上に向かっていくことも討論しあった。文化がかけ離れているが、日本の共同体の精神や仕事に関する価値観も理解し、ブラジルの異文化国家、国土の広さ、適用性の高さを考慮し、友好的な労使関係、生産性向上と共に、お互いに協力して、産業の発展に繋がるような活動を継続できることを話し合った。

PdfApresentação_CNI_JAPAN 2012 portugues.pdf

PdfT_1.IR and HRM in Japan.pdf

PdfT_2.IR and Productivity.pdf

PdfT_3.Employee Involvement.pdf

PdfT_Case study Imperial hotel .pdf

浜松のJose Antonio Piras 総領事と奇遇の再会

3日夜、2協会の役員等と会合の後、4日に浜松ブラジル総領事館を訪問した平田事務局長、数秒間の沈黙の後、ピラス総領事と奇遇の再会、肩を抱きしめ歓びを分かち合った。

2010年11月26日、第4回日伯貿投委が東京で開催された時「マルチ商用ビザの合意は日本政府如何に掛かっている」と勇気ある発言したのが当のピラス氏。

その後「(   ) は本能寺にあり」、と緊急案件として取り組んで来た経緯がある。2011年6月メルコスル首脳会議を終えたついでに30日来聖した松本外務大臣に「ブラジルと韓国、ブラジル周辺7カ国、EU諸国等がビザフリー、また中国に至っては日本に先立ち商用マルチビザが既に発効済みであるのに100年以上の信頼関係にある日本が何故後塵を拝しているのかと6月30日、同大臣に強く直訴。その後、同年11月28日、ブラジルと日本の間でMOU が交され2012年、1月1日から3年有効期限の商用マルチビザが発効した。

もしピラス氏の発言が無く、その言葉に触発されて無かったらきっと発効が遅れていたに違いない。その数秒間の沈黙の一瞬であった。当時、ブラジルに戻る機内でもピラスとは一緒であったため縁の繋がりをお互い確認し合った。

翌日のブラジル経済セミナーで又逢おうと浜松総領事館を後に、磐田信用金庫を訪問、直近のブラジルの政治経済情勢について役員等と懇談した後、静岡市に赴き後藤康雄静岡商工会議所会頭を表敬訪問、色々な意見交換を行ない、無事4日の日程を終了した。

Piras 総領事と平田事務局長

浜松ブラジル総領事館訪問の模様

磐田信用金庫訪問にて記念撮影。高木昭三会長(右下)、髙栁裕久理事長(左下)、平田事務局長(中央)

日本ブラジル法律文化協会と日伯経済文化協会と面談

2014年9月3日、平田藤義事務局長は日本への到着後、同日宿泊先のホテルで2協会の面談に臨んだ。

日本ブラジルの法曹界のそうそうたるメンバー間で立ち上がったばかりの日本ブラジル法律文化協会の本林徹理事長、事務局の水谷弁護士(松田綜合法律事務所)、同事務所の白井潤一弁護士、また慶應義塾大学の前田美千代准教授、日伯経済文化協会の栗田政彦代表理事(日本ブラジル法律文化協会理事)と同ホテルで今後、日伯の法律を学術のみならず日本進出企業の経営面を支えていく視点から、同協会と会議所間の協力関係について具体的な内容を討議し会合を行なった。

日本ブラジル法律文化協会は、日本とブラジルにおける法学研究者の学術交流および企業統治・コンプライアンス関連の実務家間の交流、在日ブラジル人ないし在ブラジルの日系および日本人が抱える相互の法律・社会問題についての理解と課題解決促進にむけての活動を通じて、なお一層の法律・文化の交流を図ることを目的に設立され、会議所事務局便りでも会員企業へ広くその活動内容を告知している。「新たな・おしゃれでインテリなブラジル」の視点から新たな日伯交流推進を目指す日伯経済文化協会(ANBEC)の活動ともその方向性が合致し、同協会(ANBEC)の代表理事である栗田氏も創立事業に参画している。

第33回カマラゴルフ会 開催

2014年8月30日(土)、第33回カマラゴルフ大会がサンパウロPLゴルフクラブで盛大に開催されました。今回は53名の皆様のご参加を頂き、表彰式も大盛況の内に終了いたしました。

優勝は荒木さん(S.C. TOYOTA TSUSHO)がLILY42、PANSY46、HC21、NET67のスコアで獲得、2位には大滝さん(CONSTRUTORA HOSS)、3位には加藤さん(SHIMADZU)が入りました。また、ベストグロス賞は岡野さん(NSK BRASIL)がLILY40、PANSY37で獲得しました。

当日の運営におきましては皆さんのご協力に対し心より厚く御礼申し上げます。
誠にありがとうございました。

                                                                         相互啓発委員会一同

      

8月の労働問題研究会に44人が参加して開催

8月の企業経営委員会(松永 愛一郎委員長)の労働問題研究会は、2014年8月28日午後4時から6時まで44人が参加して開催、司会は破入マルコス副委員長が担当、初めにAbe, Guimarães e Rocha Neto Advogadosのプリシーラ・モレイラ弁護士は、「高等労働裁判所の確定判決277号改定における集団交渉規制の新たな解釈」について、Convenção Coletivaは企業代表組合 (Sindicato Empresarial)と労働者組合 (Sindicato dos Trabalhadores) 間の団体交渉で制約されたもので法律と同じ拘束力を持ち、またAcordo Coletivaは労働者組合が特定の企業と団体交渉を行い成約したもので当事者間において法律と同等の効力を持つ。高等労働裁判所の確定判決277号の解釈の推移などについて説明した。

Ferreira Rodrigues Sociedade de Advogados のジューリオ・ジョゼ・.タマジウナス弁護士は、「従業員利益配分(PLR)-法務、交渉、実務面」について、法令10.101号/2000で従業員利益配分(PLR)は企業側並びに従業員との間で交渉するように定めており、労働者の権利を保証に対する詳細条文として、不当解雇に対する保障並びに失業保険、退職引当金、最低給料、減給の禁止、13 カ月給料、残業の割増、12.832号/201ではPLRのための委員会を設置、情報の開示の義務、 PLRの所得税の減税額の変更、10.101号/2000の規定の遵守を免れるときに、社会保障給付を求める、最近の税務上訴審議会(CARF)の決定について説明した。

PdfAbe, Guimarães e Rocha Neto Advogadosのプリシーラ・モレイラ弁護士 「高等労働裁判所の確定判決277号改定における集団交渉規制の新たな解釈」

PdfFerreira Rodrigues Sociedade de Advogados のジューリオ・ジョゼ・.タマジウナス弁護士 「従業員利益配分(PLR)-法務、交渉、実務面」

左から破入マルコス副委員長/Abe, Guimarães e Rocha Neto Advogadosのプリシーラ・モレイラ弁護士/ジョージ・ヌーネス氏/山内正直副委員長/Ferreira Rodrigues Sociedade de Advogados のジューリオ・ジョゼ・.タマジウナス弁護士